基本情報
公開年: 1994年
上映時間:142分
ジャンル:ドラマ
監督・脚本:フランク・ダラボン
原作:スティーブン・キング(「刑務所のリタ・ヘイワース」)
主演: ティム・ロビンス(アンディ・デュフレーン役)、モーガン・フリーマン(レッド役)
あらすじ
物語の主人公であるアンディは妻とその愛人を殺害した罪で終身刑を言い渡されショーシャンク刑務所に送られます。彼は無実を主張し続けますが誰からも信じられることなく過酷な刑務所生活が始まります。
そこで彼は罪人や看守との関係を築き、知識やスキルを活かして刑務所の環境を変えていきます。
刑務所で図書館を充実させて、看守たちの税務対策の手伝いを通じて、次第に影響力を持つようになります。
アンディの親友となるレッドは長年服役してきた囚人で刑務所内で「何でも手に入れる男」として知られています。アンディとレッドは深い友情を築き、特にアンディが自由への希望を持ち続けている姿がレッドにも大きな影響を与えます。
20年近くの服役生活を経たアンディは、ある日、巧妙な計画で刑務所を脱出します。
彼は刑務所の腐敗を暴露し、新たな人生を歩み始めます。
最後にレッドも仮釈放を受け、アンディのもとへと向かう決意をしてエンディングを迎えます。
作品からのメッセージ
■希望と自由のテーマ
『ショーシャンクの空に』の最大のテーマは「希望」と「自由」です。
アンディは絶望的な状況にありながらも常に自由への希望を持ち続けます。彼の名言「希望はいいものだ。多分最高のものなのだ。そして、素晴らしいものは、決して失われない」という言葉は、映画全体のメッセージを象徴しています。アンディの物語は、どれだけ抑圧されても、人間は希望を持ち続けることができる、という強いメッセージを投げかけています。
一方、レッドは当初、刑務所の現実に適応しすぎて、希望を持つことの危険性を警戒していました。しかし、アンディとの出会いを通じて彼自身も希望を取り戻し、自由への道を選ぶことになります。この二人の対照的なキャラクターの変化は、映画の重要な成長の要素です。
■人間関係と信頼
刑務所という閉ざされた環境で、アンディとレッドが築いた友情は非常に重要な要素です。
アンディは知識や技術を通じて周囲の信頼を得て、刑務所内での地位を築きます。彼の誠実さや賢さが周囲を惹きつけ、最終的には脱出に成功するというストーリーは信頼関係がいかに大切であるかを示しています。
また、レッドとの友情はただの利害関係を超え、深い絆となっていきます。レッドは最終的にアンディの自由への希望を理解し、自分自身も変わろうと決心します。この友情が映画全体に温かさと感動をもたらしています。
■刑務所の腐敗と人間の堕落
ショーシャンク刑務所内での腐敗や暴力は、映画のもう一つの大きなテーマです。所長や看守たちの腐敗したシステムの中で、アンディはその状況を利用しつつも、最終的にはその腐敗を暴露します。映画は、権力が腐敗することで、人間の堕落を招くことを示しており、それに抗うアンディの姿は正義感や勇気を象徴しています。
一方で、刑務所内の囚人たちも、長年の閉鎖的な生活の中で徐々に自由を忘れ、システムに馴染んでいく姿が描かれています。この「制度化」という概念は、長期間の監禁生活が人間にどのような影響を与えるかを考えさせられます。
■結末でのカタルシス
アンディの脱獄は観客にカタルシスを感じさせます。20年にもわたる計画を成功させるという彼の知恵と決意は多くの観客に感動を与えました。特に、彼が一夜にして脱出するシーンは映画のクライマックスであり、その後の爽快なエンディングは非常に満足感のあるものとなっています。
映画は、最終的には希望が勝利することを示し、レッドもアンディのもとへ向かうことで彼自身も自由と再生を手に入れることになります。この二人の再会シーンは、映画のハッピーエンドとして印象的です。
作品の小話
不朽の名作として知られる「ショーシャンクの空に」は実は公開当時は全くヒットしていません。
製作費2,500万ドル(約25億円)に対し、全米興行収入は1,600万ドル(約16億円)と赤字です。
その翌年にアカデミー賞7部門にノミネートされたことでリバイバル上映を果たし、興行は最終的にアメリカで2,800万ドル(約28億円)、国外で3,000万ドル(約30億円)になりました。(※オスカーは無し)
転機は作品を気に入ったデッド・ターナー氏が自身のケーブル局でTNTで繰り返し放映を行ったことで、認知度が上がりました。それから人気に火がつき多くのテレビ局が放映権を獲得して、現在の立ち位置に成り上りました。
日本でも同じような事例があり、スタジオジブリの「となりのトトロ」は上映当時はヒットしなかったものの、日本テレビ系列で再放送が繰り返し放映されたことで現在では多くの方に愛されています。
まとめ
『ショーシャンクの空に』は、希望、友情、そして自由を求める人間の強さを描いた感動的な作品です。アンディの人生を通して、逆境にあっても希望を持ち続けることの重要性が強調されています。
また、レッドの変化や刑務所内での人間関係も、深いテーマとして描かれており、人生の苦境においても希望を見出すことの力強さを感じさせます。
この映画は、単なる刑務所映画に留まらず、より普遍的な人間の精神の物語として、多くの人に共感を呼び続けています。