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映画【ネタバレ有】『ウルフ・オブ・ウォールストリート』 あらすじ・考察

映画

作品概要

公開年: 2013年
上映時間: 180分
ジャンル: 伝記/コメディ/ドラマ
監督: マーティン・スコセッシ
脚本: テレンス・ウィンター
原作: ジョーダン・ベルフォートの自伝『ウルフ・オブ・ウォールストリート』
主演: レオナルド・ディカプリオ(ジョーダン・ベルフォート役)
(C) 2013 TWOWS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED. TM, (R) & Copyright (C) 2014 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.

あらすじ


物語は実在する株式ブローカー「ジョーダン・ベルフォート」の実話を元に描かれてます。

ジョーダンは1980年代後半から1990年代にかけてニューヨークのウォール街で驚異的な成功を収め、巨額の富を築きます。彼は自らの証券会社「ストラットン・オークモント」を設立し、詐欺的な株取引で大金を稼ぎながらドラッグ、セックス、豪華な生活に溺れていきます。

物語は彼の急速な成功とその裏にある違法行為、そして最終的にFBIに追い詰められていく過程を描いています。

ジョーダンのカリスマ性と成功者として裕福な生活が描かれる一方で、彼の道徳心のなさや自己を大切にしない行動が強調され、物語は彼の成功と没落を丁寧に描いています。

エピソードに対する考察

ジョーダンとドニーの関係

ジョーダンがウォール街で成功を収めるために、ビジネスパートナーとなるのがドニー・アゾフです。二人の関係はビジネスを超えたもので、特にドニーがジョーダンに初めて会ったシーンでは、彼がジョーダンの生活スタイルに魅了され、一緒に事業を始めたいと即座に申し出ます。彼らのビジネスパートナーシップは、ストラットン・オークモントの急成長の原動力となりますが、二人は共にドラッグ、金、セックスの誘惑に飲み込まれていきます。

特に、彼らが麻薬のクアールードに溺れるシーンは、象徴的です。二人は、クアールードを過剰に摂取し、ジョーダンが麻痺状態で車を運転しようとするシーンは、コメディ的要素と同時に、二人の自己破壊的な行動を強烈に描いています。このエピソードは、彼らがどれほど現実離れした生活を送っていたかを象徴しています。

ウォール街の文化と金銭至上主義

映画全体を通して描かれるのは、ウォール街の腐敗した金銭至上主義です。ジョーダンは自社のブローカーたちに、「金を稼ぐことがすべて」という価値観を植え付け、彼らを奮い立たせます。特に、ジョーダンが行う士気を高めるためのスピーチは象徴的で、彼は社員に対して顧客を騙すことを躊躇せず、会社の利益を最優先にすることを教えます。

この価値観が極限に達するシーンとして、ストラットン・オークモントがIPO(新規株式公開)で大儲けする場面が挙げられます。ジョーダンたちは顧客を欺き、高リスクの株を押し付ける一方、自分たちは莫大な利益を手に入れるのです。彼らは派手なパーティーや、裸の女性とドラッグが飛び交うオフィスパーティを繰り返し、倫理やモラルは完全に崩壊しています。

FBIとの対決と崩壊

ジョーダンが最も恐れるのは、当然のことながらFBIの捜査です。彼が自らの犯罪行為に気づきつつも、成功への飽くなき欲望からそれを止められない姿が描かれています。特にジョーダンがFBI捜査官であるパトリック・デナムと最初に対峙するシーンは緊迫感に満ちています。ジョーダンはデナムを買収しようと試みますが、デナムはそれを拒否し、ジョーダンの野望が崩壊し始める瞬間を感じさせます。

最終的に、ジョーダンは自らの仲間に裏切られ、捜査に協力することを余儀なくされます。この場面で彼は、長年一緒に仕事をしてきたドニーを売り渡すことを決意します。この決断は、彼の友情や信頼がいかに薄っぺらいものだったかを象徴しています。ジョーダンはFBIに追い詰められ、全てを失い、刑務所へと送られます。

作品からのメッセージ

過剰な欲望とモラルの崩壊

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の核心にあるテーマは、欲望がどれほど人間を堕落させるかということです。ジョーダン・ベルフォートの成功は、彼の巧みな話術と不正行為によってもたらされましたが、彼の欲望は決して満たされることはありません。彼は次々とより多くの金、より多くのドラッグ、より派手な生活を求め、結果としてその欲望が彼自身を破壊していきます。

特に、彼がドラッグに溺れ、家族やビジネスパートナーとの関係を次々と壊していく姿は、欲望がもたらす自己破壊の象徴です。物語の終盤では、彼は全てを失い、残るのは空虚さだけです。

アメリカンドリームの光と影

映画はまた、アメリカンドリームの裏側を鋭く描いています。ジョーダンは貧しい家庭から出発し、自らの努力と野心で巨万の富を手に入れます。しかし、その成功は倫理的には正当化されないものであり、彼の物語はアメリカンドリームの歪んだ一面を映し出しています。

一方で、彼が刑務所から出所後にセミナー講師として再起を図る姿は、いくら失敗しても再起できるというアメリカのもう一つの側面を象徴しています。これはアメリカンドリームの「希望」の部分でもあり、物語の複雑さを際立たせています。

気になるシーン解説

■なぜ最後ジョーダンはFBIに捕まってしまったのか?

結論としては「ドニーの裏切り」です。

ジョーダンはFBIから減刑する代わりに盗聴器をつけて共犯者たちの情報を集めろと命じられます。ジョーダンは仲間を守るためにドニーに盗聴されていることを伝えるために黄色いメモを渡します。

しかし、ドニーは黄色いメモをFBIに渡してジョーダンを裏切り密告したと想定されます。

なぜドニーは裏切ったのでしょうか?
それは、ドニー自身も罪を軽くしたい気持ちがあり、友情より保身を取ったと言えるでしょう。

作中においてもドニーはブラットとの口論が原因でブラットは逮捕されます。
ドニーはその事実を隠蔽してジョーダンにドラッグを渡して誤魔化すなど、卑怯な一面を持つキャラクターでした。

まとめ

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』は、過剰な欲望、富、そしてその破滅を大胆に描いた作品です。

ジョーダン・ベルフォートの豪奢な生活とその裏に潜むモラルの崩壊、そしてFBIとの対決と最終的な破滅が強烈に描かれています。この映画は、資本主義の極限を風刺的に描きながらも、同時にその魅力と危険性を浮き彫りにしています。

ジョーダンの成功とその崩壊、さらには再生の物語は、欲望が人間をどれだけ変えるかを考えさせ、同時に再起の可能性も感じさせます。

最後までご愛読いただきありがとうございました。
ハンター田中

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