基本情報
公開年: 2022年
上映時間: 105分
ジャンル: アニメーション/SF/アドベンチャー
監督: アンガス・マクレーン
脚本: ジェイソン・ヘッドリー
制作: ピクサー・アニメーション・スタジオ
主演(声優):クリス・エヴァンス/鈴木亮平(バズ・ライトイヤー役)
※2024年9月27日(金) 日本テレビ「金曜ロードショー」TV初放送
本作は「トイ・ストーリー」でアンディがバズ・ライトイヤーのおもちゃを欲しがるきっかけになった物語として描かれています。
あらすじ
物語はスペースレンジャーであるバズ・ライトイヤーと彼のチームが、人類の新たな住処として探査していた未知の惑星に不時着するところから始まります。バズの誤った判断で仲間たちをこの危険な惑星に取り残してしまった責任を痛感し、彼のミッションは仲間を救出し、全員を無事に帰還させることへと切り替わります。
バズはリスクのある「ハイパースピード」を使いテストを繰り返し行いますが、その度に”ウラシマ効果”の影響でバズと拠点の仲間の時間はずれていきます。特にバズの長年の仲間であったアリーシャが年老いて亡くなってしまう様子は彼にとって大きなショックとなります。時間の経過が止められない現実に直面したバズは、過去の失敗を取り戻そうとしますが、その過程で彼は何を本当に大切にすべきかを学んでいきます。
そんな中、新たな脅威であるザーグが現れ、惑星の脱出計画を妨害します。バズは新しい仲間、アリーシャの孫であるイジーや他の不器用ながらも勇敢な仲間たちと共に、ザーグとの対決に挑んでいきます。
エピソードに対する考察
■バズとイジーの友情
バズとイジーの友情は映画の感動的な要素の一つです。バズは出会った頃のイジーや彼女の仲間たちを「素人」と見なし、あまり頼りにしようとしませんでした。しかし、惑星での危険な状況下でイジーが持つ潜在的な勇気と能力を見出し、バズは彼女を信頼するようになります。特にバズとイジーが一緒に訓練して、無重力の中で敵に立ち向かうシーンは、彼らがチームとして成長していく過程を象徴しています。
このエピソードを通じて描かれるテーマは、他者を信頼し協力することの大切さです。バズは最初、自分一人で全てを解決しようとしますが、最終的にはチームとしての力が重要であることを学びます。
■時間の流れとバズの後悔
物語の中心的な要素である「時間の流れ」は、バズにとって深刻なテーマです。バズが何度もハイパースピードを試みるたびに、数年分の時間が進んでしまいます。これにより、彼の親友であるアリーシャは年老いていき、バズが気づかぬうちに彼女は家族を持ち、最後には亡くなってしまいます。この時間の経過に取り残された感覚は、バズに大きな後悔と孤独感を抱かせます。
しかし、このエピソードは、過去を変えられない現実と向き合うことの重要性を強調しています。バズは、時間を巻き戻して過去の失敗を修正することに固執しますが、最終的にはその過ちを受け入れ、未来に向かって進むことを選びます。この点で映画は、どんなに過去に後悔があっても、今を生きることが最も大切であるというメッセージを伝えています。
■ザーグとの対決
バズが物語のクライマックスで直面するのは、未来から来た「もう一人のバズ」であるザーグです。未来の自分と対峙するという設定は、自らの行動がどのように未来に影響を与えるか、そしてその未来が自分が望んだものとは限らないという考えを示しています。
ザーグが過去を変えることを求める一方で、バズはその行動を拒否します。過去の失敗を修正するよりも、現在を大切にするという選択をするバズの姿勢は、映画全体のテーマに繋がります。彼は過去を受け入れ、現在の仲間たちとの絆を大切にし、未来を一緒に切り拓く決意を固めます。
作品からのメッセージ
■挑戦と成長
バズ・ライトイヤーは、常に「限界に挑む」精神を象徴するキャラクターです。彼の名台詞「無限の彼方へ、さあ行くぞ!」は、困難や逆境に直面しても決して諦めないという精神を象徴しています。物語を通じて、バズは自分自身の限界や過去の過ちを乗り越え、成長していく姿が描かれています。
■時間と悔恨を受け入れる勇気
時間の流れは誰にも止められないという現実と、それを受け入れる強さがこの映画の大きなテーマです。バズが光速飛行の試行錯誤で何年も仲間たちを置き去りにしてしまう場面は、過去の後悔を表現していますが、最終的にはその後悔と共に生きる道を選びます。
■チームワークと他者への信頼
物語を通じて、バズは他者を信頼し、共に協力することの重要性を学びます。特に、イジーや彼女の仲間たちとの友情と信頼は、チームワークが個々の力を超えるものであることを示しています。
まとめ
『バズ・ライトイヤー』は、壮大な宇宙アドベンチャーを背景に、時間の流れや過去の悔恨、チームワークと信頼といった深いテーマを描いた作品です。
バズの成長を通じて、他者を信じて協力することや、今を大切に生きることの重要性が強調されています。
映画全体のアクションシーンや感動的なキャラクターの絆も含め、ピクサーらしい温かさと深みのある作品となっています。
最後までご愛読いただきありがとうございました。
ハンター田中