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【漫画紹介】僕だけがいない街(作者/三部けい)※ネタバレ注意

マンガ

基本情報

連載雑誌:ヤングエース(KADOKAWA)
連載期間:2012年~2016年
作者:三部けい(さんべ けい)
単行本数:全9巻(完結)
発行部数:549万部 ※2020年12月時点(電子版含む)

【メディアミックス】
アニメ放送:2016年1月~3月(全12話) ※フジテレビ/ノイタミナ
声優:土屋太鳳(藤沼悟/10歳)、悠木碧(雛月加代)

実写映画化:2016年
出演:藤原竜也、有村架純 

実写ドラマ:2017年12月(全12話) ※Netflix
出演:古川雄輝、優希美青

『僕だけがいない街』はノイタミナのアニメ放送をきっかけに出会えた作品です。
タイムループとミステリーが交わった本作に惹き込まれた私はアニメ放送中に続きが気になり、気が付けばAmazonで全巻セットを購入していました。
原作も10巻以内で手に取りやすく、ループ系の作品が好きな方は、間違いなくハマる本作品をご紹介します。

あらすじ

売れない漫画家の藤沼悟は、「再上映(リバイバル)」という特殊な能力を持っていました。この能力は、自分の意思とは関係なく発動し、事件や事故などの「原因」が取り除かれるまで直前にタイムリープしてしまうものでした。悟はリバイバルの力でトラブルを未然に防ぎますが、自分には良い影響がないため、モヤモヤした気持ちを抱えながら日々を過ごしていました。

ある日、ピザの配達中にリバイバルが発生し、子どもの交通事故を防ぐましたが、代わりに自分が車と衝突して入院します。 この出来事をきっかけに、同僚の愛梨と仲良くなり、さらに事故の知らせで上京した母、佐知子と共に暮らすことになります。

その後、佐知子との買い物中に再びリバイバルが発生し、佐知子は子連れの男と目があったことで誘拐事件を未然に防ぎました。佐知子は翌日に1988年に北海道で起きた連続誘拐殺人事件の真犯人が前日の子連れの男と同一人物であると気づきます。

真犯人に気づいた佐知子は何者かに殺害されて、遺体を発見した悟は殺人の濡れ衣を着せられ、リバイバルで母を救いたいと強く願った悟は、1988年の過去に戻っていました。

みどころ

『僕だけがいない街』の見所をまとめてみました。

■緊迫感のあるタイムリープ
主人公・藤沼悟が持つ「再上映(リバイバル)」というタイムリープ能力を発揮して、過去に戻り、母親の死や幼少期に起きた連続誘拐殺人事件を解決しようとします。真犯人に迫る緊張感と、過去を変えることの難しさが物語を盛り上げます。

■緻密に張り巡らされた伏線
物語の随所に伏線が張られており、後半に進んで徐々に明らかになる真相は見所の一つです。 誰が真犯人なのか、事件の全貌はどうなっているのか、最後まで目が離せません。

■舞台設定のリアリティ
三部けい先生は北海道苫小牧市出身で現在は千葉県在住になります。
主人公・藤沼悟も過去編では1988年の苫小牧市を舞台に事件の解明に挑み、現代編では2006年の千葉県船橋市で漫画家を目指した活動しています。
それぞれの土地に馴染みがあるからこそ、作中の細かい設定や台詞にリアリティがあり魅力的な作品に仕上がってます。

印象的なシーン 

■八代学の告白

悟が最も信頼していた大人、八代学が実は連続誘拐殺人事件の犯人だったという真実が明らかになる場面は、読者に強烈な衝撃を与えます。特に、八代が自分の車ではないことを告白するシーンは、ターゲットを悟に定め、始末する準備が整ったからこその言動であり、その瞬間の恐怖感が一気に高まります。

このシーンが恐ろしいのは、これまでの展開で八代を「便利な協力者」として読者が認識する点にあります。単行本の5巻では八代の運転する車の助手席に悟は既に2度、乗っています。

いずれも何の問題もなく進みます。1度目は生徒にプリントを渡し忘れた時、2度目は中西彩を尾行する時です。だからこそ、3度目に八代が協力してくれる場面でも、読者は特に警戒することなく、安心感を持ってしまいます。この油断が、八代の告白によって一気に裏切られ、恐怖が際立ちます。

1度目の運転、爪が描かれる
2度目の運転、爪が描かれる
3度目の運転、手袋を着用

さらに、八代の細かい描写が緻密に積み重ねられている点も、このシーンの魅力です。1度目の車内では、八代がタバコを辞めた代わりに飴を食べることや、運転中にハンドルを指でトントン叩く癖が描かれていました。

普段は素手で運転していた八代が、3度目の犯行時には証拠を残さぬように手袋をして運転し、助手席のダッシュボードに飴があるという設定が不気味に再利用されます。このような細かい伏線が見事に回収され、読者の驚きを倍増させています。

このシーンは、作者の巧妙なリードで積み上げられた緊張感が、一気に爆発するような瞬間です。

■雛月加代を救った未来

悟は八代学に命を狙われた結果、15年間昏睡状態に陥り、目覚めた際にかつてのクラスメイトたちと再会を果たします。その中に悟が救った加代の姿がありました。加代は「悟と過ごした時間があったから、あたしは幸せになれた」と言いました。

原作で加代が再登場したシーンは個人的に複雑な感情を抱きました。
加代が生きていて嬉しい感情と加代の命を救おうとして昏睡状態になった悟を差し置いて、ヒロミと結婚して子供を授かり、幸せを享受する加代に対しての違和感。

この展開は私なりの解釈にはなりますが、過去を変えても未来は類似した形で収まるというのが答えになります。
例えば、佐知子は悟がバイクで事故をしたから千葉に上京しましたが、過去を変えても悟の介護のために千葉に住んでいました。愛梨もバイト先の同僚として出会う筈が、パパラッチ撃退を機に出会います。
このように未来は類似する形で収まるために、連続誘拐殺人の被害者である加代、ヒロミが生存する際に最も影響を与えないという点から結婚に至ったのではないでしょうか。

最後に

「僕だけがいない街」は、タイムリープとミステリーが巧みに組み合わさった作品で、過去と現在を行き来しながら事件の真相に迫っていくストーリーが非常に魅力的です。

キャラクター個々の魅力や舞台の緻密な描写、巧妙に張り巡らされた伏線が、読み始めたら止まらない魔力を持っています。その完成度の高さから、メディアミックスも大いに盛り上がり、アニメや実写化でも話題となりました。ぜひ、この緻密に構成された物語を、あなた自身の目で確かめてみてください。

ハンター田中

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