基本情報
公開年: 1999年
上映時間: 188分
ジャンル: ドラマ/ファンタジー
監督・脚本: フランク・ダラボン
原作: スティーブン・キング(「グリーンマイル」)
主演: トム・ハンクス(ポール・エッジコム役)
: マイケル・クラーク・ダンカン(ジョン・コーフィ役)

あらすじ
舞台は1930年代、アメリカ南部の刑務所の死刑囚監房「Eブロック」
そこでは死刑囚が死刑執行の際に「グリーンマイル」と呼ばれる緑の床を経由して電気椅子に向かう。
ここで看守主任を務めるポール・エッジコムは黒人囚人であるジョン・コーフィと出会います。
ジョンは幼い姉妹を殺した罪で死刑判決を受けますが、実はピュアで優しい心の持ち主であり、人を癒す不思議な力を持っていることが明らかになります。
死刑執行の猶予の中でジョンの人柄を理解したポールと看守たちは、ジョンの無実を信じ、彼を救おうと奮闘しますが時代や制度の壁に阻まれ悲劇的な結末を迎えます。
作品からのメッセージ
■不思議な力と人間の善悪
『グリーンマイル』の大きな特徴は不思議な力の要素が物語の中心に据えられていることです。ジョン・コーフィの持つ「癒しの力」は彼が単なる死刑囚ではなく、特別な存在であることを示します。
この力が物語の進行に影響を与え、希望と奇跡の象徴として描かれます。彼の冤罪や優しさが死刑制度という冷酷な現実との対比となり人間の善悪を考えさせます。
■死刑制度の問題と人間性
映画のもう一つの重要なテーマは「死刑制度の是非」です。ジョンのような無実の人間が冤罪で死刑に処される可能性があることや看守たちが死刑執行に立ち会う際に感じる葛藤が強調されています。
ポールをはじめとする看守たちは人間的な感情や良心を持ち合わせており、職務として死刑を執行することへの苦悩が描かれています。
特にポールはジョンの無実を信じていても制度の中でどうすることもできないというジレンマに苛まれます。
■ジョン・コーフィの象徴的存在
ジョン・コーフィはキリスト教的な「犠牲の象徴」として描かれています。不思議な力や無実でありながら死を受け入れる姿勢はイエス・キリストのような暗喩として機能しています。
彼は人々の痛みを吸収し、最後には不正に対しても復讐を求めることなく、純粋な愛と赦しを示す存在です。彼の存在を通じて映画は「無償の愛」「許し」といった深いテーマを伝えます。
■人間の弱さと腐敗
物語ではジョン・コーフィのような「善」だけでなく、刑務所内の「悪」も描かれています。特に残酷で暴力的な看守パーシーや、本当に悪事を犯した囚人ワイルド・ビルは人間の腐敗や残虐性を象徴しています。
彼らの行動はシステムの中で許されてしまう不正や悪行を浮き彫りにし、ジョンやポールのような善人との対比が強調されています。
■ポールの内的変化と老後の語り
物語は老年になったポールが回想する形で進行します。ポールはジョンとの出会いを通じて、自分の人生や正義感が大きく変わったことを語ります。
彼はジョンを救えなかったことに深い後悔を抱えながらも、その出来事が彼の人間性に与えた影響を振り返ります。この内省的な語りが物語により深い感情を加えています。
気になるシーン解説
■ジョンがが死刑執行前に見た活動写真
こちらは実在する作品で「トップ・ハット」という1935年のアメリカの映画です。
ミュージカル映画でラブコメデイという内容ですが、絶望的な苦しみを和らげて「彼らは天使だ、天国にいる天使のようだ」とジョンはつぶやきました。
まとめ
『グリーンマイル』は死刑制度や人間の善悪、許しや奇跡といった重厚なテーマを描いた感動的な作品です。
不思議な力の要素を絡めながらも現実世界の社会問題や人間の内面に迫る内容が多くの観客に強い印象を与えます。
特に、ジョン・コーフィというキャラクターの象徴的な存在は、物語全体を通して人間の善性と希望を表現しており、その悲劇的な結末が心に残る名作です。
